イギリスの典型的な朝ごはんといえば、イングリッシュ・ブレクファスト。
どこで食べても顔ぶりは大体同じで、カリカリのベーコンと、トマトソースで煮た豆(Baked Beans)、ソテーしたマッシュルーム・トマト・ソーセージ、目玉焼き、ハッシュドポテトそして薄いトースト(イギリスのレストランでパンを頼むとWhite or Brown?と良く聞かれます。食パンを、普通の小麦粉の白い食パン(White)か全粒粉の茶色い食パン(Brown)かを選べます)。これに合わせるのは当然紅茶です。
こうして改めて書き出すと朝からかなりモリモリな内容ですね。
イギリス人は毎朝こんな盛りだくさんなコレステロールの塊のような朝食を食べているのか?というと、答えはNoです。イングリッシュ・ブレクファストはあくまで週末や時間のある時のもの。忙しい日々の朝食はシリアルやトーストとヨーグルトなど、とても簡素なものです。
個人的に、イングリッシュ・ブレクファストは日本の旅館などで出る和式の定番朝ごはんにコンセプトが似ていると感じています。顔ぶりが大体決まっていて、味噌汁に白いご飯に焼き魚、卵焼き、そしておひたしや漬物など細々とした付け合わせ。
お味噌汁をちょっと啜って、魚をつつき、ご飯を口に入れてちょっとまたお味噌汁を飲む。漬物を食べてまたご飯を口に入れて。。。という忙しい流れが、
紅茶を飲んでソーセージをつつき、トーストを齧ってまた紅茶を啜る。目玉焼きをベーコンを一緒に食べてまたトーストを齧り。。。という流れに似ている気がするのです。
イギリス人はトーストの焼き加減にはやたらこだわったりします。
しかもそこに正解はなく、カリカリによく焼かれたものが好きな人もいれば、ちょっと温まったぐらいの状態を良しする人もいる。
これも、日本人の米の炊き具合(固めのご飯が好きな人と、柔らかめのご飯が好きな人と分かれますよね)に対するこだわりにちょっと似ているなあなんて思ったり。
そして、真面目に食べきると数時間動けなくなるという点も似ています。毎朝完食いたら間違いなく胃もたれしてしまいます。
一方、同じヨーロッパでも例えばフランスではクロワッサンなどのパン(大体1種類しか食べない)にカフェラテの組み合わせが定番で、少しずつパンをちぎってたまにカフェオレに浸したりしながらゆっくりゆっくり食べます。イタリアでは絶対にカプチーノと甘いもの(甘いパンのようなものから完全にデザートのようなものまで)。ドイツではパンにハムに生野菜にチーズ、ピクルス。Kaltes Essen(「冷たい食事」の意味で、熱で調理するメニューがない)というやつですね。北欧の人たちはドイツ式の内容のハムをニシンかサーモンに変えたもの。と結構国によって朝の定番メニューは違います(ラテン系とゲルマン・アングロサクソン系で明らかに系統が二つに分かれているのが興味深いところです)。
当然忙しい現代人は国にかかわらずシリアルやヨーグルトだけで済ますという人も多いとは思いますが、時間がある週末の朝食やホテル・カフェなどの定番メニューを覗くとお国柄がよく分かりますね。
ちなみに私は正直English Breakfastをこれまであまり美味しいとは思っていなかったのですが、
ある日、「ん!?お、美味しい。。。」としみじみ感じる瞬間がありました。
「え。。。ちょっと、Baked Beansとソーセージを食べつつバターをつけたカリッとしたトーストを齧ると滅茶苦茶美味しいんだけど!!」と興奮して彼(イギリス人)に報告すると、「ふふ、だから前から言ってるじゃん。今頃気づいたの?」と得意気な顔をされました。
これも慣れなのでしょうか。自分の中の「お気に入りの味」をこのEnglish Breakfastの中に見つけることができれば、こっちのものです。
中でもソテーされたマッシュルームは本当に美味しいです。
Portobello Muchroomという種類の大きなマッシュルームがよく使われているのですが、これにオレガノやタイムなどを振りかけてフライパンでソテーしてあるだけのものが、びっくりするほど美味しい。
以上、イギリスの朝ごはん事情についてご紹介してみました。ちなみに、私と夫がイングリッシュ・ブレクファストを食べる頻度は、2ヶ月に一度程度で、大抵はイギリス国内の旅行先のBed&Breakfastなどで頂きます。家ではもっぱら平日は全粒粉トーストかヨーグルト&フルーツ、休日はパンケーキやワッフルなどを焼いて食べています。